イチゴ炭そ病の防除について(2003年4月27日更新)
育苗床の防除対策
 <冠水・湛水しない場所>
 1・排水の良い場所を選び、地下水の高い場所は特に高畝とし、周辺に
                    溝を切り排水対策を講ずる。
 2.台風や豪雨、大雨で冠水、湛水しやすい場所は避ける。
 3.傾斜地では、排水溝を掘り表面排水を避ける。
 4.圃場周囲が住宅や果樹園に囲まれ、風とうしが悪く湿度が上がり易い
                   場所は避ける。
 <無病株の確保>
 1. ウイルスフリーの専用親株を使用する。
 2. 専用親株を自家育苗する場合は、秋から春に収穫株から発生する
  ランナー子株をポット受けし養成する。しかし親株から発生した
  第一ランナー子株を親株に切り替えればより安全です。
 3. やむおえず、収穫株を利用(前年のウイルスフリー株)する場合
  は、無病収穫ハウス内を親株床にかえ、第一ランナー子株を親株
  に切り替える。
 <土壌消毒のポイント>
 1. 消毒効果を高めるため、20cm以上深く耕し、土塊を小さくし土壌
      水分は40〜50%程度とする。
 2. 地温が15度以上の時期に土壌消毒をするが、15度以下であれば処理
       期間を14日以上とする。
                                                                 10a当り
 クロールピクリンくん蒸剤2〜3ml/1穴/30cm間隔千鳥ー1回
 トラペックサイド油剤            30〜40リットル/10a 植付け21日前まで−1回
ディトラペックサイド油剤        30〜40リットル/10a 仮植又は植付付21日前−1回
 バスアミド微粒剤                           30kg/10a  仮植又は植付付21日前−1回

 <いちご炭そ病予防苗場でのローテーション散布例!>
 炭そ病
o発病適温  30℃前後
  高温多湿で発生が多く、床面の水の流れで広がる。
o土中の菌の生存期間―残査と一緒に8?9カ月までは、判っている。
o他の作物には感染しないと言われてきたが最近では、そらまめ、
  エンドウ、シクラメン、ノゲシなどに寄生する事が判ってきた。
o菌の名:コレトトリガ属、フラガリアエ
o 『人間の風邪のようなもの』
       菌が体内に入っても風邪をひくわけでもなく体力の弱っているものが発病。
      炭そ病も同じつまり風邪の予防に帰宅後うがいが必要。
       下葉取りの後は必ず傷口消毒する。
       特に菌の体力が低下する8月以降防除を徹底。
いちご炭そ病予防苗場でのローテーション散布例!
 oアントラール(水)500倍+オーソサイド(水)1000倍・・混用効果大
 oアントラコール(水)500倍 仮植栽培期-6回
 oオーソサイド(水)800倍 30日ー2回
 oベルクート(水)1000倍 育苗期ー5回
 oアミスター(F)2000倍…混用注意!苗場の使用は4回まで
 oゲッター(水)1000倍定植前ー3回
 oキノンドーフロアブル500倍(800倍)育苗期ー3回
 oバイコラール(水)2500倍 育苗期ー3回

 oイオウフロアブル1000倍 …単用使用、高温時注、展着剤を入れない
 oジマンダイセン(水)600倍 仮植栽培期ただし収穫76日前ー6回
 oデランフロアブル1000倍 育苗期ー2回
<かん水方法>
 1. 水の掛け過ぎに注意する。(特に自動かん水では注意)
 2. 親株床で、活着直後にマルチし、チューブかん水で表面流水を防ぐ。
 3. 仮植床で、葉上かん水する時は、ソフトなかん水とし、土の跳ね返り
                     を防ぐため軽く敷きわらする。
 4. かん水は、夕方には床面が乾く時間内とする。
 <採苗方法>
 1. 太郎苗は捨て、次郎苗から採苗する。
 2. ランナーの傷口は、仮植時には地上部に出す。
 3. 罹病株が発生したら、その周囲は余裕を持って処分し採苗しない。
 <罹病株の早期除去と処理の徹底>
 1. 罹病株は、早期に除去し、またランナー、下葉等の残さは、ビニール 袋
     に入れ密封し、嫌気性処理する。
 2. 摘除した葉や罹病株、残さは育苗床、栽培床周辺に放置しない。
 <その他の管理>
 1. 親株の定植は、春植えとする。
 2. ランナーや下葉の除去は、好天気に行い、露の付いていない時とする。
 3. 挿し苗育苗は(省力トレイ)、7月下旬までとし、30〜40日間
  管理する。
 4. 高冷地のおける花芽分化促進のための鍬入れは避ける。
栽培床の注意
 <土壌消毒>
 1. ハウスサイド、連棟ハウスの連結部位は手打ちし、処理量は倍量とし
   消毒を徹底する。
 2. 消毒期間は、8月上中旬の好天気が続く時期とする。早期に消毒した
     場合は、施肥時期までビニール被覆しておく。
 3. 陽熱処理は、地表部位の菌は死滅するが、地中では生存しており効果
      は低いので、薬剤処理を併用する。
 <定植と管理>
 1. 葉かきは、定植5〜7日前に行い、定植当日は行わない。
 2. 曇雨日、また降雨直後の定植は避け、活着と根張りを促す。
 3. 活着後の葉かきは、、かん水間隔が長くなった時期に行う。
  <薬剤散布>
 1. 定植直後は早めに、又ビニール被覆直前に必ず行う。
 2. 定植直後と保温開始時は、感染しやすいので重点的に散布する。
 <かん水方法>
 1. 晴天日の午前中に短時間に行う。
 2. 早期マルチしチューブかん水で土の跳ね返りを防ぐ。
  <補  植>
 1. 罹病株直後に補植するが、気温の高い時期では再感染しやすい。
 2. 補植苗がない時は、健全株からランナーを伸ばし、植え付け場所に
      定着させるか、受けポットした苗を他に補植する。
3. 罹病株を処理した日の手入れや補植は避け、改めて行う。
 <収穫株の処理>
  収穫終了直後に株を抜き取り、乾燥してから焼却する。
   鎌で切らない。



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